インフレ・戦争の背景にある資本主義の強欲さ

主張
インフレ・戦争の背景にある資本主義の強欲さ
労働組合を人々の抵抗の砦に!
24春闘が示すもの
「物価上昇分は働き手にほとんど回らない」――こんな記事が朝日新聞(5月24日付)の一面に掲載された。
 記事によると23年度の物価上昇分(4・1%)のうち賃上げ要因は0・3%で1割に満たない。残りの9割は企業収益に回った、と独自のデータで分析した。物価上昇が自然現象のように語られるが、実際には企業が例年以上に利益を出し、大儲けしている。
 コスト高以上の値上げをして利益を上げる企業行動は「強欲インフレ」と呼ばれる。とめどなく突き進む資本主義の利益追求の運動が労働者を飲み込んでいる。
 他方、労働者の状況はどうか。今春闘でZOZOタウンは、黒字にも関わらず組合の賃上げ要求を飲まないどころか手当を大幅ダウン。非正規春闘実行委員会によれば賃上げ要求をした107社のうち半数近い48社が賃上げに応じない「ゼロ回答」。アンケート調査では、非正規の72・5%が「今年1月から賃金は上がっていない」と回答した。
 今春闘は過去最高の賃上げ率6・02%と報じられているが、実態をまったく反映していない。もはや一企業を超え、資本主義のシステム・構造に根本的問題があると言える。
占拠闘争→ストへ
 物価高と資本の暴走に対抗するためにはやはり労働組合しかない。正規と非正規を壁である二階層賃金制を打破したのが米匡の全米自動車労組(UAW)だ。
 UAWスト勝利のインパクトは大学にも波及した。コロンビア大学など全米に広がるパレスチナ連帯の学生運動がニュースになっているが、この背景として米大学での労働組合員数の急増が関わっている。学費高騰で生活苦となった学生や院生たちが働かざるをえないためだ。
 UAWフェイン委員長は「言論の自由を守り、イスラエル軍の撤退を要求して約5万人がストを開始する」と宣言。5月20日、カリフォルニア大学でUAW支部に加入する大学生・院生、教育職員4万8千人がストに突入。キャンパスを占拠した学生(労働者)は今度はピケットを張り労働組合を武器にストライキに立ち上がったのだ。
 これぞパレスチナ労働組合の要請にこたえる闘いだ。このストは全米に拡大する可能性を秘めている。強欲な資本主義への挑戦――ガザ虐殺は世界の労働運動をアップデートし続けている。
ちば合同労組ニュース 第167号 2024年06月1日発行より